平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
誠に勝手ながら、以下の期間を夏季休業とさせていただきます。
ご迷惑をお掛け致しますが、宜しくお願い致します。
※8月18日(月)より通常営業の予定です。
<宇宙のような法律の世界>他
Ⅰ【 宇宙のような法律の世界 】
1.法律というと、テレビドラマ等で加害者と被害者がいて、裁判所が有罪・無罪の判決を下す刑事裁判こそが裁判や法律のメインであるという漠然としたイメージがある。
しかし、法律※1を学んでみると分かることが多い。
交通事故の様に加害者VS被害者とハッキリするケースがありますが、世の中には被害者同士の争いも少なくありません。
悪いことをしていないのに、風向きによってはお隣の火事で自身の家に火の粉が飛んで来たら、火の粉を振り払う等をしないと延焼してしまう「もらい火」も普通に発生するのが常でありましょう。
つまり、悪いことをしていないのにどちらかが損をしないといけない事になるケースとしての法律の世界には、行政法の『利益衡量※2』(りえきこうりょう)という天秤に掛けて判断して行かなければならない法学の領域があります。
ちょっとその領域を覗いて見たいと思います。
2.(例)「空き家※3」についての比較衡量の例の考え方
(A)行政の「公益」を趣旨として個人情報を用いることによる利益。
●生活環境の維持・向上・魅力・活力ある地域の形成
●特定空家等及び管理不全空家等の未然防止(以下省略)
(B)個人の「私益」としての秘密が守られる課題発生と秘密の保護、利益。
●本人の居住地情報(他人の秘密)が保護されることで、本人に不利益が及ばない利益、プライバシー等が守られる利益(地方公共団体が空き家部局に提供された本人の居住地情報が空家法以外の目的で利用される。)(以下省略)
(C)上記(A)行政の「公益」と上記(B)個人の「私益」との利益衡量として優先すべき利益との比較衡量の検討。
転居届情報は住所を移さない者の居住地情報であり「他人の秘密」に該当し、一定の要保護性がある。
一方、空家法に基づく取組みは、対象とする空き家の状態(空家法に規定する「管理不全空家等」又は「特定空家等」と判断できる状態の空き家)によっては、周辺住民及び通行人などの「生命・身体」の保護及び「財産」の緊急の保護の必要があり、高い公益性を有する。(以下省略)
かなり専門的な分野の法律の世界ですが、物事の解決の方法として、テレビの水戸黄門の様な世界のみではない法律の世界があります。
<注釈>
※1.法律とは、憲法・刑法・民法・商法・刑事訴訟法・民事訴訟法の六種の法律(基本六法)をいいます。または六法全書を指すこともあります。ある分野に属する法令集(例えば銀行六法・証券六法等)。
これに対し六法全書とは、これらの基本六法のほか、各種(例として、労働法や税法、国際法等)の法令を収録した書籍をいいます。
けだし、法律家といわれる職業家である裁判官や弁護士などは、すべて記憶することは到底不可能です。私見ですが、私の場合(法律家ではないが法律を学んで教えていただいた学生時代に先生は、この課題の法律は「あの辺に記されてあったなぁ~」として索引する。)ことがポイントである。従って法律は記憶力だけではなく、最も重要な要素は物事を間違いがあったとしても「論理的」にあれやこれやと考えることのできる「思考力」が大切です。(その理由、時は常に進化し続けて行くものだから)…でしょう。
※2.利益衡量(りえきこうりょう)
「利益衡量」とは、ある法文(行政法)の解釈にあたり、二つの相対をする利益の重要度を比較することで、優先すべき利益を保護するために行われる法的思考態様の一つである。
一般に「私益」と「私益」が対立する私人間の紛争であれば、両者の比較はそれほど難しくない。
しかし、行政当局を一方当事者とする行政紛争の場合、行政側は「公益」を代弁し、私人は行政に対して異議を唱える形で自己の私益を主張するので、「公益」対「私益」との比較衡量の考え方。
※3.空き家等の類型には、①空家等、②空家等活用促進区域内の空家等、③管理不全空家等、④特定空家等 の区分があり、各項目に於いて「情報を用いることによる利益」の内容が異なっています。又、「秘密を守られる利益」の内容の詳細も異なっています。
そして、この両方の「比較衡量の考え方」も当然に違っていますので、詳しくは、空家等対策の推進に関する特別措置法第10条第3項の規定、及び同法第2条第2項に規定する特定空家等又は同法第13条第1項の規定をご参照下さい。
Ⅱ【 三田の米がまずいとの失言 】
1)新潟県 中川幹太上越市長が兵庫県で食べた米がまずいと言って多くの批判となっていることに関し、時は参議院議員の選挙期間中ということもあり炎上している。同人はその後の謝罪「軽率だった」と述べています。
この一連の報道を聞いていて、小生も思い起こした過去がある。
子供の頃、毎日毎日が麦飯でした。麦飯は子供にとって喉がイガイガします。
ある朝食時に「おいしくない」と言ってしまい、母からそれなら食べるなと言われて茶碗を取り上げられたことがありました。子供ごころに正直に感じたことを言ったが、こんなにも怒られてしまったあげく、腹を空かしたまま学校へ登校した記憶が蘇って来ました。その日の夕方に母から正座させられて、母は「いいか、毎日ご飯を食べられない人も居るのだから、出された物は何でもおいしいと思って食べるんだよ!!」と諭された自分を思い出して、テレビから流れている政治家の弁解を今に聞くこととなった。
2)ところで、選挙へはこれまで一回も欠かしたことはなく、常に投票に足を運んで来ています。ささやかな選挙権という権利を行使して来ており、自分自身の唯一の自己満足かも知れませんね。
法律の世界には「クリーンハンズの原則」(裁判所は社会的に非難されるような行為を行った原告については、手助けをしないという考え方のことをいいます。)(例として、原告が賭け事に使うお金であることを知っていて被告にお金を貸したお金の返還を求める行為など)や原告が不貞行為をしてその被告(相手)に対し離婚を求める行為など)に類する範疇と捉えている性格があり、政治家に意見を述べられる様にしておいて来た自己保身がその背景になっているのかも知れない。
そこで求められる理想的な政治家について、福沢諭吉の名言を記してまとめとします。
3)誰もが知る福沢諭吉の名言
「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らずといえり」(人間とは生まれながらには平等であって、貴賤や上下などの差別はあってはならない。)の名言にはつづく言葉がある。福沢氏曰く「しかし、実際はどうであろうか。優秀な人もいれば不出来な人もいる。金持ちもいれば貧乏な人もいる。」みんなが平等ということは全くないだろうと。最終的に福沢は「優劣は必ずできてしまう。それを覆すために勉強して『学』を身につけるべきだ!!」と言っている。
また「学」や「貴賤や上下などの差別なく」とは、学問を修めることも大切だが、スポーツ、音楽、絵画など類稀な才能の特別な多様性の社会や各専門分野に於いて努力した人々が正当に評価される社会でなければならないという趣旨も含まれていると解すべきだろう。福沢諭吉の名言の意味を改めて肝に銘じたい。
●早朝ランニングの道端に咲く、白色や紫色の花(6月上旬)
【写真左・中央】ホタルブクロ(白)、【写真右】ホタルブクロ(紫)
(この花は早朝に開花して午後には萎んでしまう短命花です。)
以上