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2023年9月号 | レポート

<賃借人の家賃滞納による家賃保証会社の立替えであっても解除が認められたケース>

 Ⅰ【 賃借人の家賃滞納による家賃保証会社の立替えであっても解除が認められたケース 】

第1.<事例>

1.賃貸人A(以下Aという。)所有の建物を賃借人B(以下Bという。)へ賃貸していました。Bは建物賃貸借契約時に家賃保証会社と保証委託契約を結んでいた。
2.その後、Bは家賃の支払いが5ヵ月分滞納することとなり、AはBに対し、滞納家賃5ヵ月分の支払いを期日まで支払う様に催促し、その期日までに支払いが無き時は、賃貸借契約を解除する旨を付記した書留内容証明書で意思表示をしていた。
3.一方、家賃保証会社は、保証委託契約書に基づき、AへBの滞納家賃を代位弁済した。
4.Bは、この代位弁済がAに対する賃料の支払いに実質的に充当されるので、賃料の不払いに当たらないと主張し、契約の解除事由に当てはまらないと主張し争った。
5.そこで大阪高裁は、保証会社の保証は、保証委託契約に基づく保証であって、これによってBの家賃(賃料)の不払いという事実は消えず、賃貸借契約の債務不履行の有無の事実を判断するにあたり、保証会社の代位弁済の事実を考慮することは相当でないとして、Bの主張を排斥してBが敗訴した。(※地方裁判所で同様の判断の判決の言い渡しがあり、B敗訴となっているのを不服として、上記高等裁判所へ控訴したものの、同様の判断となった。)

第2.そこで、当事者の争点となった ①賃貸借契約の解除事由の事実認定、及び ②AとBとの間の信頼関係の破壊の有無の検討。
(1)当事者間の賃貸借契約は、「賃借人が家賃(賃料)等の支払いを2ヵ月以上滞納すれば賃貸借契約を解除することができる。」とする条項をどう解釈するかという点ですが、「Aとしては、Bが賃料(家賃)等を支払うことがなかったという履行遅滞の事実が5ヵ月あったと主張し、Bとしては2ヵ月以上にわたってBと保証会社のいずれかも支払わない状態が存在することが必要かという主張。」
(2)次に、信頼関係の破壊について、保証会社が立替えをしているため、Aは何らの不利益が生じていると言えるのか?そして、保証会社に対する求償債権についても一部弁済があった。

この様な事実の中で、当事者の主張を整理すれば、

<Bの主張>
1.Aは、保証会社の代位弁済により実害が生じていない。
2.Bは、精神的な傷病が原因で支払いが遅れたに過ぎず、今後改善される。

<Aの主張>
1.賃料(家賃)等が約束どおりに支払われていない。
2.保証会社が代位払いをしているとしても、支払い期日の日から遅れて支払われている。
3.B自身に支払いの意思及び能力が認められない。
4.保証会社による保証は、Aの収益の安定とB自身にとっての連帯保証人を用意する負担の軽減であって、保証料の代位弁済の支払いで居住の権利を確保することを目的としたものではない。
5.保証料以外を支払わない不当なBを利する一方で、保証会社の経営破綻を招くこととなり、保証会社を利用していた善良な賃貸人や賃借人が犠牲になる結果となる。

第3.上記の双方の主張に対し、大阪高裁は以下のとおりの判断をした。
●解除事由の存否については
賃料の不払いが認められ賃貸借契約は解除をすることができる。一方保証会社の代位弁済でBの賃料の不払いという事実を覆すことはできない。
●信頼関係破壊の有無については、
Bが賃料の支払いを怠っていることからすると、本件賃貸借契約については、AとBの信頼関係は破壊されていると認めるのが相当であると判断した。
さらに、Bはこの様な高裁の判決言い渡しに不服を唱えて最高裁判所へ上告をしたが、平成27年6月26日同裁判所より上告棄却となり、確定した。

<まとめ>
この様に、Bは賃貸借契約書に基づく賃料の不払いがあることで、家賃保証会社が代位(立替)弁済したケースであっても、当事者の賃貸借契約という法律上の約束を厳格に判示したものである。

 Ⅱ【 賃貸住宅の居住目的の変遷 】

1.近時の賃貸借契約の申し込みは、「同棲」を目的としてのケースが増加して来ています。
2.この様な申し込みで悩まされるのは、1LDK(居室+寝室)で約42㎡~50㎡の物件が対象となりますが、稀に1K(20㎡)の場合もあります。
3.「同棲」と言っても、①結婚式等の日程が決まっていて、「同棲」することを両親らに認知されている。②「とりあえず単に一緒に住む」場合とを区別するために、①のケースは双方の両親(又は一人親の場合その親)から、一緒に住むことを承諾などしている旨の書面の提出を求めています。②のケースは申し訳ありませんが、事実上お断りしています。
4.なぜ「同棲」を目的とする賃貸借をお断りすることとなるかは以下の問題が生じる恐れがあるからです。
(1)借地借家契約を締結したAとBが、当事者として債権者・債務者の地位にあることを、いわゆる債権法上の「相対性」と言います。つまり、Bの親が非常に裕福だからと言ってもBの親には請求できない「第三者」となります。Bのみが賃料等の支払い義務を負担すると言う法律上の原則です。
(2)従って、婚姻(戸籍に夫婦として記載がある人)による夫婦の場合は、賃料の支払いが「民法第761条」に基づき、連帯保証人となっていなくても夫又は妻の一方に生じた「日常家事に関する債務
※1」は契約者となっていなくても連帯して支払う義務を負います。(ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合はこの限りではない。)(H27.12判決・家賃(月28万円の物件、支払額約200万円)
(3)また民法のいう夫婦は、婚姻の届出を出していなくても、夫婦の実態がある事実婚(内縁)の夫婦にも適用あると解されています。

<結論>
本題の「同棲」は、「当事者の意思」、事実婚(ある一定の期間)から見て、前述のいずれにも該当しないばかりかリスクが大きく、不動産管理会社の管理上から見ても相当の理由が無いため、消極的で且つ慎重に対応しているが、しかし空室の増加と空室の期間が長いと政策的な判断も生じてしまう課題がある。

※1 民法第761条の日常の家事とは、「夫婦と未成熟子からなる共同生活に通常必要とされる一切の事項」と言われていて、具体的には食料、光熱、医療、娯楽、子どもの養育、教育費などを指します。これらの基準は夫婦の社会的地位、収入、職業などによっても変わります。

以上

更新情報

更新日:2024.04.01
更新日:2024.03.01
更新日:2024.02.04
更新日:2024.01.05
更新日:2023.12.01

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