次世代型賃貸借建物
Ⅰ.〔次世代型賃貸借建物〕
1.〈設備ハード面の変化と高機能重視のニーズとは〉
全国賃貸住宅新聞がこの春に不動産会社向けに「お客様の部屋探しの際に「絶対条件」と考える設備」のアンケート調査結果ランキングを「単身者向け物件」、「ファミリー向け物件」この二つに分けて発表した。
「単身者向け物件」・・・1位 独立洗面台 2位 TVモニター付きインターホン 3位 洗浄機能付き便座
「ファミリー向け物件」・・・1位 追い焚き機能 2位 TVモニター付きインターホン 3位 独立洗面台
上記のアンケートの結果に反映された項目の背景としては、今の賃借人の生活スタイルが①フローリング②洗浄機能付き便座③TVモニター付きインターホン④追い焚き機能付きで育っている世代の方が多くなっていて、当然の結果と捉えた方が良いでしょう。
しかし、前述のとおりに付加価値を高めたとしても賃料の増額は望めないでしょう。むしろ、賃貸市場の競争社会に於いては、他の賃貸住宅との差別化を計りお客様からの支持を得て継続的な事業収入の方が重要である。
2.<次世代対応型の新築住宅への提言>
新しく建築する賃貸住宅の設備としての「ポイント」は「A.健康志向の増加」、「B.節約志向の増加」は「分譲マンション」に大きなヒントがあると言っても過言ではない。即ち「分譲マンション」は分譲時に於ける購入者観点を最重要視するので、表札・ドア・照明・水回り・デザインや防犯設備等様々な仕様が賃貸住宅建築の要素として大変参考になります。
1)AとBについて考えられること、浴槽派からシャワーのみへ変化した。対応としてシャワールーム(1人分の丸く筒状(ビニールカーテンも可)にし、手が自由に動く位のスペース)を浴室のスペースに設ける。なぜ、このように浴槽派からシャワー派に変化してきたのか、その背景としては次のことが要因ではないかと考える。①ランニング人口の増加・・・ランニング人口は400万人から今や1200万人まで増えたこと、また、若い女性は美容と健康を兼ねて運動する人の増加。しかし、現実問題夏は、シャワーのみで良いが、早春と秋頃・冬場の浴室は広すぎて体が温まりにくいとする問題があったのが改善される。さらに、利用者は上下水道・ガス代の負担軽減につながっていく。
2)高級自転車室内への壁掛け(通称:ロードバイクと呼ばれているもので特徴としては、片手で運べる位非常に軽い、自転車の本体価格が10万~100万円等)最近、通勤は自転車でという方が増えてきているような気がします。近時の「東日本大震災時に経験した交通の足」「道路交通法の改正」「健康ブーム」等がその背景の様です。(たかが、自転車がされど自転車の時代でもある)
3)国も国民に対しメタボ等の防止医療費削減のため、「運動」を働きかけているし、また、自らの健康管理に関心を持つ人が多くなる背景があるためです。
3.<この様な住宅建築に対する融資銀行の姿勢は、安定して収益が見込まれる事業物件へ投資>
1)銀行が融資の意思決定する際にも既存の賃貸住宅との違いがハッキリと分かり、持続して利益の確保が可能とするところに資金を回すこととなるでしょう。特に今の時代省エネルギーの手法を取り入れた「賃貸住宅」が他よりも優先して資金投入の可能性が高くなる。
・具体的にはファミリー賃貸住宅のケース「前述のシャワー利用=水道代節約」、「太陽光パネル=賃借人へ売電収入6,000円/月」、「LED照明=電気料40%節電/月」、「断熱性能=電気+ガス、石油代の負担減」等で、月平均2万円前後の光熱費を削減する「賃貸住宅」の提案型の営業がポイントとなるだろう。特に賃貸市場の弱い地域では必須となる。
当然に「環境エネルギー総合研究所や地元大学」等との連帯を図り具体的な数値を得ての提案となるが…。
善は急げと考えるが「コスト等」の問題もあるが他社よりも早い意思決定の有無が、向う10年、20年先ではなく30年と大きな事業収益となることを信じる者の一人である。