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●居住用建物の定期借家契約は日本を元気にする(その2)(2022年3月6日) | 企業法務ここかしこ

【事例】

弊社はAさんに対し、不動産コンサルタントとして、賃貸マンション事業を提案し、現在業を営んでいますが、定期借家契約への切り替えを考えているようです。この場合、Aさんにアドバイスしたいと思いますので定期借家契約の内容と切り替える場合の留意点を教えて下さい。

又、一部の方には定期借家契約は賃借人に不利だと、あるいは新たな契約を結ぶ場合に別途仲介手数料の支払いが生じると考えている人も居ります。賃貸人の方の法律運用とも関連しますのでこの点も教えて下さい。

 

1 定期借家制度の概要と新設の目的

〈立法の経緯〉

 立法時は、「定期借家契約」という法律ではなく、「良質な賃貸住宅の供給

 等に関する法律」で、平成11年12月の会期末日に議員立法として国会で成立

 しました。

 国会議員全員の賛成を得たという珍しい全会一致で成立しました。その直後

 に借地借家法の法律の一本化の際に「第38条」として今日に至りました。

 平成12年3月1日から施行された定期借家権制度は、期間の定めのある建物の

 賃貸借契約を締結する場合、公正証書等の書面によって契約する場合に限り

 契約の更新がないことを定めることができ、賃貸借期間が満了した場合には

 確定的に賃貸借契約が終了するという制度です。

 従来の借家契約は、貸主に建物の自己使用を必要とする事情等の正当事由が

 ない限り、更新の拒絶や解約が認められず、期間が終了しても、事実上契約

 を終了させることが困難になっています(借地借家法第28条)。

 このような従来型の賃貸借契約の内容が、立退き等の貸主と借主間のトラブ

 ル発生の一因となっており、また正当事由の制度が良質な借家の供給を阻害

 しているとも指摘されています。

 そのような問題点の是正をするため、契約期間が終了した場合に確定的に契

 約が終了するという定期借家権制度が創設されました。

 

2 定期借家権の成立要件

 定期借家契約の成立要件は、次の5つであり、以下の5要件を満たさないと

 定期借家とは言えず、従来の更新の認められる賃貸借契約(以下「従来型の

 賃貸借契約」又は「普通借家契約」と呼ぶことにします)と扱われます。

 ①「期間の定めのある」賃貸借契約であること(法第38条第1項)

 賃貸借契約でも期間の定めがあるものに限られます。従来の建物賃貸借契約

 では期間の定めのない契約も多くあります(法定更新のため連帯保証人が死

 亡していた事例もあります)が、新設された定期借家契約は、期間の定めの

 ある(再度契約を結び直す。)ものに限定されました。

 なお、今回の改正ですべての建物賃貸借契約について民法第604条注1の適用

 がなくなり、さらに定期借家契約には借地借家法第29条注2も適用されなく

 なったため、短期では1年以下、長期では30年、50年といったような期間の

 定期借家契約が認められるようになりました。

 注1、民法第604条 ……賃貸借の存続期間は20年を超えることができない。

    もし、これより長い期間を定めたときは期間を20年に短縮する。

 注2、借地借家法第29条…期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定め

    のない建物賃貸借とみなす。

 

 ②「建物」の賃貸借契約であること(法第38条第1項)

 建物の賃貸借であることが要件になっていますが、建物の賃貸であれば、

 用途が事業用や、居住用の定期借家契約は認められます。(後述の事業用定

 期借家契約と居住用定期借家契約との大きな違いの一覧表参照)

 

 ③公正証書等の書面で契約すること(法第38条第1項)

 定期借家契約を締結するには、公正証書の書面で行うことが必要です。

 公正証書は一例としてあげられているだけですので、公正証書によらなくと

 も、一般の書面による契約であれば、定期借家契約を締結できます。

 なお、普通賃貸借契約は当事者の意思の合致(口頭)で成立します。

 

 ④契約の更新のないこととする旨定めていること(法第38条第1項)

 賃貸借契約の条項に「契約の更新がないこと」が定められていることが必要

 です。

 一例として「本件契約は借地借家法第38条に基づく定期建物賃貸借契約であ

 って、契約の更新はなく、契約期間の満了により終了となります」。

 

 ⑤貸主があらかじめ借主に、契約の更新がなく期間満了により建物の賃貸借

 契約が終了することを記載した書面を交付して説明すること(法第38条第2

 項)

 この要件は衆議院による修正により付け加えられたもので、借主に誤解が生

 じることを防ぐため、貸主に定期借家契約であることの書面の交付による説

 明義務を課したものです。

 なお、書面の交付をして説明することを怠ると、例え契約書に更新をしない

 と定めていても無効であり、従来型の賃貸借契約として扱われることになり

 ます。(実際は所有者から代理委任状をいただいて不動産仲介業者が説明す

 る方法もあります。)

 

 注3、定期借家契約の留意点 ~説明書面と契約書について~

    定期借家契約は、期間満了によって契約が終了し、契約の更新がない

    契約形態。契約にあたっては、契約書とは別に説明書面を作成するこ

    とが基本です。定期借家契約特有の手続きをしっかりと確認して対応

    することが大切です。

  【裁判例の概要】

    定期借家契約を締結した借主に対し、貸主が、契約期間の満了により

    終了したなどとして目的物件の明渡しを請求したところ、借主側が、

    借地借家法38条2項所定の書面(以下「説明書面」といいます。)の交

    付および説明がないことから、この賃貸借は定期借家に当たらないと

    して契約の存続を主張した案件です。

    原審は、本件賃貸借について、平成15年10月31日に定期借家契約公正

    証書(以下「本件公正証書」といいます。)が作成されましたが、

    本件公正証書には、貸主が、借主に対し、本件賃貸借は契約の更新が

    なく、期間の満了により終了することについて、あらかじめ、その旨

    記載した書面を交付して説明したことを相互に確認する旨の条項があ

    ることなどから、本件において説明書面の交付があったと推認するの

    が相当であるとし、本件賃貸借は法38条所定の定期借家であり期間の

    満了により終了したと判断して、借主側の主張を認めませんでした。

    そこで、借主がその判決を不服として上告しました。

    裁判所は原審が認定した「法38条2項において賃貸借契約に先立ち契約

    書とは別に交付するものとされている」という点はそのまま認めつつ

    「貸主側が本件賃貸借の締結に先立ち説明書面の交付があったことに

    つき主張立証をしていないに等しく、それにもかかわらず、単に、

    本件公正証書に上記条項があり、上告人(借主)において本件公正証

    書の内容を承認していることのみから、その説明書面の交付があった

    とした原審の認定は、経験則又は採証法則に反するものといわざるを

    得ない」として、契約書とは別に説明書面の交付があったのかを再度

    審理させるために、原審に差し戻しました。

                   (最高裁・平成22年7月23日判決)

 

3 定期借家権の効力

 定期借家権の最大の特色は、契約に定めた賃貸借契約が満了すると賃貸借契

 約が確定的に終了して、借主は建物の明渡しをする義務が生じることです

 (法第38条第1項)。

 契約が終了するといっても、契約期間が1年以上の契約であっては、期間の満

 了の1年前から6ヵ月前までの通知期間内に期間満了による通知をしなければ

 借主に契約の終了を対抗できないとされています。通知期間満了後に通知を

 した場合は通知の日から6ヵ月経過後に終了したことを対抗できます(法第38

 条第5項)。

 なお、契約期間満了後に終了通知を出した場合については、終了通知から6ヵ

 月で終了するという説と、定期借家ではなく通常の賃貸借権契約(普通賃貸

 借契約)と同様に扱うという説があります。立法時の政府の国会答弁は前者

 による見解を表明してしまいましたが、後者は一部の弁護士と学者が主張し

 ているものです。具体的な判断は裁判所の判断や判例に委ねられることとな

 ります。

 なお、1年未満の期間の定期借家契約では、このような通知をすることなく、

 期間の満了時に契約が終了したことを、貸主は借主に主張できます。実際の

 利用事例としては、自己の家の新築工事期間中、6ヵ月間だけ借りる等のケー

 スです。

 もっとも、期間満了の際に貸主と借主が合意により再契約をすることは認め

 られますが、これは従来の賃貸借契約の更新とは全く異なる「新しい定期借

 家契約」(弊社では再契約となります。)ですので、注意して下さい。

 なお、期間満了時にも任意に明渡さない借主に対しては、裁判注4により債

 務名義をとって強制執行しなければならないことは、現在と同じです。

 

 注4、金銭の支払いを求める金額によって裁判所の窓口が変わります。訴額

   (訴えをもって利益を求める金額)が140万円以下の場合は簡易裁判所、

    140万円以上の金額は地方裁判所が管轄裁判所となる。

    ただし、140万円以下の訴額であっても「金銭債権の請求と建物明渡

    し」を求める訴えの場合は、常に地方裁判所が管轄となる(民事訴訟

    法)。

 

4 中途解約について

(1)借主の中途解約

 ①(借主が中途解約できるという特約の効力)

 居住用の定期借家契約、事業用の定期借家契約とも「借主はいつでも中途解

 約できる」という特約は有効と解釈されています。(理由:借主に有利だか

 らです。)

 ②(借主が中途解約できないという特約の効力)

 居住用の定期借家契約で床面積が200㎡未満のものは、借主において転勤、

 療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、生活の本拠として使用

 することが困難になったときは、特約の有無に関わらず借主はいつでも中途

 解約の申入れができるとされ、それを禁止する特約をしても無効という規定

 が盛り込まれました(法第38条第5項、第6項)。

 それに対し、それ以外の定期借家契約、

 即ち、

 (ア)200㎡以上の床面積の居住用の定期借家契約

 (イ)事業用の定期借家契約では期間中の中途解約はできるという特約がな

    い限り中途解約はできず、その結果借主に賃貸借期間満了までの家賃

    負担義務があることになります。但し、借主が自主的に原状回復して

    退去した場合、残存契約期間内の賃料金額を請求できるかは問題があ

    ります。この点については、東京地裁平成8年8月22日判決(判タ933

    号155頁注5)を参照して下さい。

 

 注5、【裁判例の概要】

  契約自由の原則があるとはいえ、

 ①〈基本的な同裁判所の考え方〉として、建物賃貸借契約において、1年以上

 20年以内の期間を定めた期間途中での賃借人からの解約を禁止し、期間途中

 での解約又は解除があった場合は、違約金を支払う旨の約定自体は有効であ

 る。しかし違約金の金額が高額になると賃借人からの解約が事実上不可能に

 なり、経済的に弱い立場にあることが多い賃借人に著しく不利益を与えると

 ともに、賃貸人が早期に次の賃借人を確保した場合には事実上賃料の二重取

 りに近い結果になるから諸般の事情を考慮した上で、公序良俗に反して無効

 (90条)と評価される部分もある。

 

 ②事業用建物賃貸借契約が4年と定めて10ヵ月での中途解約した事例では、

 期間満了までの3年2ヵ月分の違約金の支払いを求めて訴えたが、賃貸人が早

 期に次の賃借人を確保した場合、事実上賃料の二重取りに近い結果になるの

 で、公序良俗に反して無効(90条)と評価し、全額を認めず10ヵ月を超える

 違約金については無効とした。

 

(2)借主からの中途解約

 他方、「借主から中途解約はできない」との特約は有効ですが、「借主から

 中途解約できる」という特約は借地借家法第30条(一方的強行法規)の趣旨

 からして特段の合理的理由がなければ無効と解される可能性が高いと思いま

 す。この点については今後の判例、学説の動向を注視したいと思います。

 

 

事業用定期借家契約と居住用定期借家契約との大きな違いの一覧表

 事業用定期借家契約と居住用定期借家契約との大きな違いの一覧表

 

5 その他

(1)定期借家契約では、賃料の改定の特約を締結した場合には、借地借家法

 第32条の賃料の増減額請求をすることができるという規定の適用がなされな

 いこと、つまり、増額にせよ、減額にせよ、当事者間の特約が著しく不合理

 でない限り特約の定めに従うということになりました(法第38条第7項)。

 

(2)従来の建物賃貸借契約(普通賃貸借契約)については、定期借家権の規

 定は遡って適用はされません。ただ、従来型の建物賃貸借契約のうち事業用

 の賃貸借契約については、合意をすれば賃貸借を終了させて、同一目的物を

 定期借家契約にすることはできます。

 しかし、居住用の建物の従来の賃貸借契約(普通賃貸借契約)を合意により

 終了させ、同一の建物を定期借家の目的とすることは、当分の間は、できな

 いと定められています。

 

(3)定期借家契約は賃借人に不利だと理解されているという点について考え

 て見たいと思います。

 確かに法律の条文そのままですと一種のバスや地下鉄の定期券と同じくある

 一定の約束の期日到来で一旦は終了します。一方「普通借家契約」では契約

 解除には賃貸人の正当事由がその要件があるため賃借人は概ねずっと借り続

 けることが可能である。との違いがその根底にあるため定期借家契約は不利

 だとの考え方へ移行してしまうのです。勿論間違いではありません。

 しかし、不動産仲介、管理会社及び賃貸人のこの定期借家契約の運用が、

 恣意的とは限りませんので賃貸契約を結ぶ前に重要事項の内容を伺って判断

 されることをお勧めします。弊社では賃貸業務を行う生業、31年間から学ん

 だことは『賃貸住宅が普通の人で構成されることを望んでいます』。

 つまり普通賃貸借契約を締結した人がある女性でしたが彼氏と称する人が出

 入することで駐車場や部屋で夜中まで音を立てて、近隣の部屋から苦情が来

 てしまい大変な思いをして退去してもらった。その間にも良い入居者らが退

 去してしまってマンションのローン返済でも苦境に立たされてしまった苦い

 経験が数件ありました。賃貸人の正当事由が求められるのは空室(空家住宅)

 850万戸となった背景から見ると、既に社会問題上弊害の一つでもあります。

 定期借家契約は、万一その様な入居者が入った場合、再契約を結びませんの

 で、結局は賃貸住宅の利用者の安心に繋がることとなります。又、一戸建住

 宅と大きく違ってお貸ししたいとする賃貸住宅専用ですのでこの点も賃借人

 はご安心と思います。

 従って全世界の98%が定期建物賃貸借契約であり、借主・貸主双方に於い

 て、良質な賃貸住宅の供給へと発展して行く可能性が含まれている他、賃貸

 住宅経営が健全な成長へと繋がっています。(執筆者の主観)

 

<まとめ>

 即ち定期借家契約とは

(1)定期借家契約(定期建物賃貸借契約)は、期間満了によって契約は終了

 し、契約の更新がない契約形態であり、平成12年3月施行の改正借地借家法で

 導入された制度です。定期借家契約の内容や手続きの特則は、以下のとおり

 です(普通借家との相違につき、後述する参考1も参照ください)。

 

 ①契約締結時の説明

  貸主は、あらかじめ借主に対し契約の更新がなく期間の満了により賃貸借

  契約は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しな

  ければなりません。この説明がなかった場合には、契約の更新がないこと

  とする旨の規定は無効となります(借地借家法38条2項、3項)。

 

 ②契約書の作成

  定期借家契約は、「公正証書等書面で」契約しなければなりません(同条

  1項前段)。

 

 ③契約期間

  1年未満の契約も可能です(同条1項後段)。

 

 ④賃料増減請求権の排除

  契約書であらかじめ定めることにより、借地借家法の賃料増減請求権の規

  定の適用を排除することができます(同条7項)。

 

 ⑤中途解約の特例

  定期借家契約の場合は、解約ができない旨の特約がなされていても、一定

  の場合には、借主は、建物賃貸借の解約の申入れをすることができるとさ

  れています(同条5項)。

 

 ⑥契約終了手続き

  定期借家契約の場合、契約期間が1年以上の契約であれば、期間満了の1年

  前から6ヵ月前までの間の通知期間内に、貸主は、借主に対し、期間満了に

  より賃貸借が終了する旨の通知をする必要があり、当該通知がない場合は

  期間満了を借主に対抗することができません(同条4項)。

 

 ⑦再契約

  契約期間が満了した場合、契約は一旦終了します。同一当事者間で物件の

  賃貸借関係を継続するためには、再契約をすることになります。

 

(2)定期借家契約を締結する場合の手続き

 定期借家契約を締結する場合、借主が当該契約につき普通借家契約とは異な

 ることを認識せしめるため、手続き上、貸主が、あらかじめ借主に対し、

 契約の更新がなく、期間の満了により契約は終了することについて、その旨

 を記載した書面を交付して説明しなければならないとされています。(上

 記①・借地借家法38条2項)。この説明がなされないと定期借家契約とは認め

 られないことから、定期借家契約を仲介等する場合には十分に注意する必要

 があります。

 また、この説明および書面の交付は、貸主が行うこととされています。実際

 のケースでは貸主が大阪、東京へ居住して相続等で仙台市内に賃貸アパート

 やマンション等を取得し、賃貸物件としています。この場合等は、所有者が

 来仙又はオンラインでの説明方法が必要です。しかし実際は、その人からの

 委任を受けて宅建業者が説明している。またこの様な説明を貸主が借主に直

 接説明するという事は理論上のとおり行える人は稀の様です。借主が突然に

 来て、ご案内した物件を気に入って借りたいとの意思表示がなされる学生さ

 んのケースを想像することで良く理解が得られます。すなわち、上記のとお

 り説明をするのは書面の名義人である貸主であって、同時に同じ内容を重ね

 て宅地建物取引士が重要事項説明を行わなければなりません。

 

(3)事前説明書面と契約書の関係

 最近、この定期借家契約であることの説明書面(上記1①)と、契約書(上

 記1②)とが、必ず別個に作成されなければならないかが一つの争点となっ

 ています。

 事前説明の手続きがなければ「契約の更新がないこととする旨の定めは無効

 とする」(借地借家法38条3項)となっている(すなわち普通借家として取り

 扱われる)ことから、別書面が必要と解されるとすれば、万が一当該書面の

 交付がなく契約がなされた場合、当事者の意向に反する結果となってしまい

 ます。

 この点につき、裁判例の中には、企業同士の倉庫利用目的での契約につき、

 契約書とは別個に説明書面を作成する必要はないとしたものもあります(東

 京地裁・平成19年11月29日判決)。

 それに対し、今回取り上げた判決では、「法38条2項において賃貸借契約の

 締結に先立ち契約書とは別に交付するものとされている」という原審の判断

 をそのまま採用しました(ただし事案については、原審の判断が実際に説明

 および書面の交付があったかにつき十分に審理していないとして、差し戻し

 ました)。

 そもそも法律では、定期借家を「しようとするときは、建物の賃貸人は、

 あらかじめ、賃借人に対し、…(中略)…書面を交付して説明しなければな

 らない」と定められており、契約書の取り交わしよりも前に説明がなされる

 と読むのが自然であると考えられます。

 別書面である必要はないとした上記東京地裁平成19年11月29日判決は、判

 決理由中で事案の特殊性(企業間契約であること等)も考慮する旨が明記さ

 れ、その判断の実質的根拠は、専門的知識も有する借主が契約書で定期借家

 契約であることを客観的にも認識しうる以上、説明書面がないことを奇貨と

 して普通借家と主張することが当事者間の信義則にもとるという点にあると

 評価することも可能です。

 さらに、国土交通省が示す定期借家標準契約書には契約書とは別の説明書面

 の書式が示されていることなどもあわせ考えれば、無用なトラブルを回避す

 る観点からは、契約書とは別に、説明書面を作成することを基本として考え

 ておくべきでしょう。

 

(4)宅建業者としての留意点

 上記のとおり、宅建業者は、この事前説明手続きにつき貸主の代理人ないし

 は使者として対応することが求められることがあります。その際に、説明書

 面を作成交付しないと、定期借家としての効果が失われ、場合によっては宅

 建業者の法的責任も問われかねません。

 定期借家契約を仲介する場合には、今回紹介した説明書面の作成交付など、

 定期借家契約特有の手続きをしっかりと確認して対応することが大切です。

 (参考2も参照ください)

 

 参考1●定期借家契約と普通借家契約との相違

 参考1●定期借家契約と普通借家契約との相違

 

 参考2●定期借家契約の手続き

 参考2●定期借家契約の手続き

 

 参考3-1、3-2

 

【 解説 】

 

参照条文、

民法第1条(基本原則)、同法第90条(公序良俗)、同法第420条(損害賠償の予定)、同法617条(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)、民事訴訟法第248条(損害賠償の認定)、消費者保護法第9条(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)、同法第10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)

 

<出典><引用>:

   社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会「不動産アナリストコース」 

       基本テキストⅡ第2回集合教育資料             

       定期借家権とは何か?                   

       弁護士 江口 正夫 著                  

 

       同、定期借家権・実務応用を考える。            

       林 弘明 作成教材                    

 

       同、定期借家権及び定期借地権制度の現状と今後の課題   

       弁護士 吉田 修平 作成教材               

 

       全国宅地建物取引業協会連合会発行 リアルパートナー第408号

       弁護士 佐藤 貴美先生の文                

 

更新情報

更新日:2024.04.01
更新日:2024.03.01
更新日:2024.02.04
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